第26回社内報 将来に向けた新しい事業への取組み ~皆さんと「志」を一つにして~

掲載日:2015年7月1日

 私が事業を始めて約30年がたちました。今年で年齢は64歳を迎えました。考えてみますと、始まりは、自分たちの家族が生きるためにはどうすればいいかという目の前の切実な問題に立ち向かっていくことでした。まさに生活のための事業です。それから事業の拡大とともに少しずつ従業員の数も増えていきました。今では二百名ほどの従業員が事業を支えており、皆さんの生活を守ることが、私の大切な使命の一つとなっています。
 そして今、これから先、私の次の世代にいかにして事業をつないでいくかを考える時期に差し掛かっています。
 私はこれまで、盛和塾での学びを通して、「自分は何のために生まれてきたのか」、そして「何のためにこの事業をやっているのか」ということをずっと考えてきました。すなわち「志」とは何かということです。
 京セラ創業者の稲盛和夫塾長のおっしゃる「善いことをおもって、善いことを実行する」とはどういうことなのか。その本当の意味が、ようやく今になって自分なりに見えてきたのです。つまり自分の家族や自分の会社がどうであるか、だけを見ていては、次の世代に事業を継承することはできないということに気が付いたのです。これまでの投資のスタイルは短いスパンでのリターンに主眼を置いていました。もちろん事業の成長過程においては、ある程度必要なことでした。しかし、一定の安定した事業構造ができた今だからこそ、これからはもっと長期的な視点に立って、社会全体の利益に貢献できるような事業構造に転換するための投資が必要なのです。そのための長期ビジョンを持つことが、我が社が次の世代に事業を継承するための課題であると気が付きました。
 ではここで、その新しい取組みの内容についてお話しします。カギとなるのが、近年の新しい取り組みである「養蜂」と「さつまいも」の事業です。一次産業すなわち「農業」との連携。その先に見えるのは、我が国の一次産業の活性化と、それにともなう食料自給率の向上に貢献するという「志」です。かつて日本が百%を誇っていた食料自給率は年々減り続けています。現在では、先進主要国の中でも最低の四十%をきるまでに落ち込んでいます。この背景には、農家の担い手の高齢化や、事業としての収益性の低さがあると言われています。このままでは主食であるコメなどを含む一次産業全体の衰退は避けられず、いずれ国家的なリスクとなる可能性をはらんでいます。それを防ぐには、なんとかして一次産業を活性化して農家に元気になって頂く必要があります。
 私は全国のいくつかのさつまいも農家を訪れて、土へのこだわりが生み出すことで創られる、世界にも誇れる品質の高さに驚き、何より素直にその美味しさに感動を覚えました。そして自分もこうした農家のお手伝いをして、その素晴らしさを消費者にも伝えていきたいと考えるようになったのです。その形としての現れの一つが「土力(ちりょく)」での鳴門金時や自然の甘さが特徴の蜜芋を使ったさつまいもの販売です。当然、これまでの事業は維持しながら収益性のある事業構造へ少しずつ転換を進めていきます。国が提唱する第六次産業の創出にもチャレンジし、それによって一次産業に携わる方々の所得の底上げにもつなげたいのです。そのためには私たちも農家に頼られる存在にならなければなりません。作り手・売り手・世の中のそれぞれがよくなる「三方よし」の考え方です。
 確かに我が社の取り組みは、今は小さなものかもしれません。収益に結び付くまでには、ある程度時間もかかることでしょう。しかし、私を含め従業員一人一人が「世の中のお役に立つ」という思いを胸に、農家の方々と一緒になって「志」を育んでいくことが、すなわち、この取組みの実現への第一歩であると考えています。
 長い道のりになるかもしれませんが、私はこれを『第二の創業』と位置づけて今ここを出発点として新しいスタートへの決意表明とさせていただきます。